かつて「関西屈指のソープランド街」と共存して名をはせた雄琴温泉(大津市)が、イメチェンを図っています。
雄琴=関西NO.1ソープ街
「雄琴」といえば「福原」に並ぶ、関西のソープ街。関東でいえば「吉原」や「堀之内」。
琵琶湖南西部に位置するおごと温泉は、昭和40年代に相次いでオープンしたソープランド街だった。温泉街から南へ約500メートル離れて一線を画し、源泉を引き込んでいるわけでもない。それでも、一時はソープランドの利用客が大量に温泉街に流れ込む恩恵を受けたが、一方で、「雄琴=ソープ街」というイメージから女性客や修学旅行客らがまったく寄りつかなくなった。そこで温泉街にソープ街から流れてくる男性客だけでなく、家族連れや女性客らを呼び戻すためにイメチェンを図った。
「雄琴」から「おごと」へ
改革の最大のネックとなったのは、やはり「雄琴=風俗街」というイメージの払拭だった。
そこで、温泉街を親しみやすい場所にするため、「おごと」と平仮名表記にする取り組みに着手した。「京都に最も近い温泉街」を前面にPRし、最寄り駅となるJR「雄琴駅」を「おごと温泉駅」にする署名活動を始め、4年もの歳月を経て平成20年に駅名を変更した。
温泉街としてもPRするため、生き残った10件の各旅館・ホテルは、地元ブランド牛「近江牛」を提供する「認定近江牛指定店」に登録し、デザイナーズ旅館や料理自慢など、各個性を尊重し、競い合う温泉街へと変貌していった。「京都に最も近い温泉街」という好立地を活かし、京都を訪れる観光客や修学旅行客の宿泊先にしてもらえるよう営業活動を展開していった。
そのような努力が実を結び、平成初めの頃は年間30万人前後だった宿泊客が、23年には48万9千人に増加した。これまでは男性客が中心だったが、家族連れ約7割、女性客約6割と観光客の構成が大きく様変わりした。
この秋・冬は「ソープ街=雄琴」と「温泉街=おごと」が共存した、おごと温泉へ是非足を運んで頂き、新しく生まれ変わった街並みと温泉を楽しんでみてはどうでしょうか。